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【TVニュース解説】奥州市が倒壊空き家を初の代執行、踏み切った背景とは?

作成者: ヌリカエ・リフォスム運営事務局|25年30月26日

## 記事サマリ
・岩手県奥州市が、2007年から放置され倒壊の危険性が高まっていた空き家に対し、市として初めての行政代執行による解体・除去に着手しました。
・岩手県内の空き家は過去最高の10万400戸(空家率17.3%)に達しており、奥州市でも8380戸(空家率16.5%)と増加傾向にあり、倒壊の危険性がある空き家が大きな課題となっています。
・奥州市は空き家対策として改修費補助や空家バンクなどの利活用相談を進めており、今回の解体費用253万円は所有者に請求されます。

## 感想・考察
奥州市による初の行政代執行は、空き家問題の深刻化と、行政が対応フェーズに入ったことを象徴する事例です。「空き家は個人の資産」という考え方が根強い一方で、所有者が遠方だったり費用負担を避けたいという理由で放置されるケースが多く、結果的に地域の安全や景観に悪影響を与えてきました。

行政が代執行に踏み切ることは、やむを得ない、むしろ積極的に評価されるべき判断と言えるでしょう。これにより、他の自治体も同様の措置を検討・実行するケースが増加する可能性があり、結果として老朽化空き家の解体需要がさらに高まることが予想されます。

一方で、解体業者としては、行政代執行案件の増加は新たなビジネスチャンスとなり得ますが、費用回収の確実性や、所有者との直接交渉ではなく行政を介する特殊性への理解が求められます。奥州市の事例では費用253万円が所有者に請求されるとのことですが、回収が滞るリスクも考慮する必要があるかもしれません。

奥州市の及川室長の「放置しておくと最終的に一番お金がかかってしまう」という言葉は、空き家所有者への啓発の重要性を改めて示しています。解体業界も、ただ作業を請け負うだけでなく、空き家が傷む前の段階での相談対応や情報提供に力を入れることで、社会課題の解決に貢献できるはずです。

早期解体による安全確保や税負担の軽減、部分改修や売却支援といった選択肢を示すことで、所有者が前向きな判断をしやすくなる環境づくりが必要です。

今回の事例は、解体業が単なる建設の一部ではなく、地域の安全や環境保全を担う重要な存在であることを浮き彫りにしました。行政との連携や啓発活動の強化が、今後の業界の価値向上にもつながると感じます。

参照:
『【行政代執行】奥州市が「空き家」を所有者に代わり解体・除去 所有者の対処見込めず倒壊の危険性高まる』
https://news.ntv.co.jp/n/tvi/category/society/tvc1dd33083d004fcaafdfa5d1bb0323c4